マロン爺の書斎

小説や考えごとをのんびり綴っています。今日も書斎で思案中。

堕天使と私 13 「お金で買えないもの」

マロン爺

9月15日は老人の日。

 

しばらくお爺ちゃんに会ってないな。

せっかくだし、顔を見せに行こ。

 

朝食を食べた後、出掛ける準備を始めた。

 

「エレコちゃん、クリス。一緒に行かない?」

「どこに行くの?」

「私のお爺ちゃんのところ」

「あら、いいわね!」

「一緒に行きます!」

タクシーで私たちの住む、

添加夢荘(てんかむそう)アパートから、

川の流れる山のふもとに向かった。

 

タクシーに揺られること、小一時間。

やがて、山のふもとにある、静かな場所に着いた。

 

私たちは、山道を歩いて、お爺ちゃんの家へ向かった。

しばらく歩くと、大きな、かやぶき屋根の家が見えてきた。

 

「ここよ」

私はドアチャイムを鳴らした。

 

ピンポーン

 

「誰かな?」

「お爺ちゃん!萌です」

「おお、萌か!久しぶりじゃのう!元気だったか?」

「うん。お爺ちゃんも元気そうで良かった!」

「そちらの、お嬢さん二人は?」

 

私は後ろにいる二人に振り返った。

 

「萌ちゃんのお友達のエレコです」

「はじめまして。私はクリスです」

「萌、友達は大切にじゃぞ」

「わかってるわよ💦

「何もないが、わしの家でゆっくりしてくれ」

私たちは大きな居間に案内された。

そして、お爺ちゃんは台所から冷たい麦茶を、

運んできてくれた。

 

お爺ちゃんと私たちは、おしゃべりに夢中になった。

 

「お爺ちゃん、助けられることがあったら言ってね」

「そうじゃの…やっぱり年もあり、体力かのぉ」

 

その瞬間、エレコちゃんが颯爽と、お爺ちゃんの近くに。

 

「課金で、ガツン💪とみなぎるパワーです!」

「なぬ?」

「こちらになります!」

 

エレコちゃんは課金メニューを見せた。

梅コース 1,000円

ニンニクの踊り食い🧄

 

竹コース 3,000円

ハブ酒🐍

 

松コース 5,000円

すっぽん一匹🐢

 

「すっぽん一匹じゃと!?」

「はい! 若者のようにガツン💪と!」

「エレコさんにはかなわん」

「それじゃ!」

「わしには金がない。だがな人間には心がある」

「心……」

「お金の代わりに、真心をあげるよ」

「……」

 

夕方遅くなり、お爺ちゃんの家を出た。

タクシーに乗り、私たちのアパートへ戻った。

 

エレコちゃんは、先ほどから

「課金・ノルマ・課金・ノルマ……」と呪文のように詠唱している。

一方、クリスは先ほどから、

何かを考えているかのように外を眺めていた。

 

「どうしたの、クリス?」

「あ、萌ちゃん。先ほどのお爺さんの話です」

「真心の話?」

「はい。なんかわかる気がしたんです」

「例えば、どういうこと?」

「萌ちゃんが、私に課金以外に思ってくれること。

それって、真心だと思うんです」

「……」

「私を素直に大切にしたい。だからだと思うんです」

「……」

「そして私は、その思いが嬉しく感じる」

「クリス…」

「私、間違ってますか?」

「ううん。また一歩、人間に近づけたね」

「え……」


私はクリスを優しく抱きしめた。

 

つづく

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