マロン爺の書斎

小説や考えごとをのんびり綴っています。今日も書斎で思案中。

『Kaoriに包まれたい』プレイバック  第5章

マロン爺

第17話『静かな揺らぎ』

Kaoriに包まれたい:16 - マロン爺の書斎

 

香織と想いを確かめ合い、恋人になった智美。


陽菜には報告したいと思いながらも、

二人の関係はもう少し秘密にしておくことにする。

香織に言われた通り、会社では「いつも通り」に過ごそうとする智美だった。


その日、朝から香織の姿が販促企画課になかった。

松下に尋ねると、香織は朝に少し顔を出したあと、すぐ外へ出たという。

昼休みになっても戻らず、ようやく姿を見せた香織は、

午後には松下を呼び止め、何かを話していた。

内容を聞いても「今回の企画を最後までしっかりやって」と言われただけだという。


智美は香織を信じようとするものの、

なぜか胸に残る違和感を消すことができなかった。

第18話『大丈夫だよね』

Kaoriに包まれたい:18 - マロン爺の書斎


香織が午前中、販促課の部屋にいなかったことが気になりながらも、

智美は香織を信じ、あえて追及しないことにする。


帰宅後には「毎日一緒に帰りましょう」とLINEを送り、

二人は毎朝・毎晩、白瀬駅から一緒に出社するようになる。

週末には、以前約束していたトレッキングの買い物に行くことも決まり、

智美は恋人になった幸せを感じていた。


仕事では「入学・卒業」の企画を終え、GWの子供向け企画に取り掛かる。

昼休みには陽菜から香織との関係を聞かれ、

ついに交際を打ち明ける。


ところが、その直後、松下から社内で異動の話が出ていると聞かされる。

智美の胸に、香織も異動するのではないかという不安がよぎる。

第19話『見えない答え』

Kaoriに包まれたい:19 - マロン爺の書斎


会社で聞いた異動の話が気になりながらも、智美は香織を信じようとする。

日曜日、約束していたトレッキング用品の買い物へ出かけ、

二人きりで過ごせる時間を楽しむ智美。


車中では、香織からいつもの爽やかな香りがしないことに気づき、

寝不足なのかと尋ねる。

店では香織が智美のトレッキングウェアを選び、

交際を始めた二人にとって最初の記念の贈り物となる。


昼食の席では、香織が「トレッキングも時には戻ることが必要」と話し始める。

無理に進まず、戻ることも大切な判断であり、

それは大切な人を傷つけず守るためでもあるという。

智美はその言葉の意味を理解できないまま、

香織の寂しげな表情を見つめていた。

第20話『戻れない道』

Kaoriに包まれたい:20 - マロン爺の書斎


香織の「戻ることも必要」という言葉を聞いた智美は、

以前、陽菜と対立したときに元の関係へ戻れたことを思い出す。

しかし、戻ることで何かを失うこともあるのではないかと感じ、

その意味を考え続ける。


帰りの車中では、香織が以前歩いた山の話やGW企画の忙しさについて語る。

やがて智美の家に到着すると、香織はトレッキングについて

「一人でも歩ける?」と尋ね、

「私がいなくても……」と言いかけて口を閉ざす。


智美は松下から聞いた異動の話を思い出し、

香織の異動を心配するが、香織は「大丈夫よ」と微笑む。

智美は安心し、贈ってもらったトレッキングウェアを抱きしめながら、

走り去る香織の車を見送る。